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マヴァール年代記もどき@幕僚:美波
カルマーン大公は帝都オノグール近郊に軍を駐屯させ、また周辺からの軍を招集していた。 だが、彼には皇位継承問題がある。帝都・宮中の諸侯にも対応しなければならない。現に、これまで数度、帝都での市街戦を行なっていた。 ここで、ドラゴシュの挙兵に反応するかもしれない諸侯を片付けるため、帝都・皇宮へ戻ることにした。これにはヴェンツェル@アヴェリンも賛同した。すでにヴォーダを送ってルセト大公と母太后を諸侯や宮中の勢力から切り離していた。また、カルマーン大公が連れていくであろう側近たちにも、どうすべきかを説明していた。 カルマーン大公は、軍の主力をヴェンツェル、リドワーン、アッセンらに任せ、一部の側近幕僚を率いて帝都オノグールに戻る。 堂々と軍を率いて皇宮に入り、自室でしばし休む。 その後、予定通り宰相や廷臣との面談をするのだった。 1〜6枚目:イリアシュ@美波 先輩「よいな?」 美波「おなかせください。ヴェンツェルさまも、こうされることを予見し、助言を頂いております」(1・2) 最初に呼んだのは帝国宰相ゾルターンだった。こいつは矮小で不愉快な男だったが、死んだ(カルマーンが弑した)父皇帝が任命したものであり、帝法では大公といえども解任することができなかった。忌々しいことだが。 ゾルターン「ドラゴシュめはエルセベート様を妻に求め、ルセト大公の庇護者となることを望んでおります。それにより、あなた、カルマーン大公を糾弾しようとしているのです」 先輩「知っている。貴様は、俺が痴呆かつんぼかと思っているのか?」 ゾルターン「いえ、めっそうも。殿下、いえ陛下…」 カルマーンは、この小男に「陛下」と呼ばれ寒気がした。 ゾルターン「勝ちたいですか、ドラゴシュに? そして至尊の冠と玉座をお手にしたいですか?」 カルマーンはドアのそばにいるイリアシュ@美波に顔を向けて頷く。 イリアシュは腰の剣を抜き放つと、左手の拳でドアを叩く。 すると、武装した大公の近衛・新衛兵がなだれ込んできた。 美波「ゾルターン宰相閣下。お舌を回すのはこれまでにして頂こう。除名も無用! 引き立てて首を刎ねよ!」 先輩「よくやった。このままオノグールに留まり、帝都と周辺の治安を守れ」 美波「かしこまりました。大命、謹んでお受けします。大公のお戻りまで、この玉座を死守いたします」(6) 7〜9枚目;フェレンツ@映莉子 この時、選帝公である6国公は、金鴉国公ヴェンツェル@アヴェリンのみだった。 竜牙国公エンドレは家臣ドラゴシュに討たれた。虎翼公国も国公が不在で国相が収める状態。銅雀公国と黒羊公国も国公が不審死した。黒羊公国は隠居した先公アールモシュが引き継いでいるが、正式な継承は皇帝による認証が必要である。 銀狼公国は国公コステアはルセト大公を奉じた。カルマーンの継承に断固として反対した結果、帝都オノグールでの大規模な市街戦を巻き起こす。 だが、帝国軍の大半を掌握し、また軍略に秀でたカルマーンの相手になりえなかった。 フェレンツはコステアの六男&庶子であったが、休戦目的に人質として差し出された。これは明らかに囮で、フェレンツの命を考慮していないものだと推測できたが、カルマーンはこれを受け入れ休戦に応じた。 次いでの、降伏条件を求めたカルマーンの死者が殺され、コステアは反撃に転じた。 だが、圧倒的な軍勢を持つカルマーンの復讐に、銀狼公国邸は焼き討たれたのだった。 生き残ったフェレンツは、その運命を察し毅然とした態度からカルマーンに助命され、さらに侍従武官に取り立てられる。 そして、成人した暁には銀狼公国を継承・再興することを約された。親衛・近衛の幹部となり、カルマーンに仕える。 帝国宰相ゾルターンを捕らえるために美波が呼んだ兵の先頭にあったのは、フェレンツだった。 10・11枚目:マウレル侯 恵里奈 勇将で知られカルマーン大公の支持者として知られていた父を継ぐ。 同じようにカルマーンに仕え最側近の一人となる。 帝国宰相ゾルターンの粛清と同時に、アポストル公や帝都の反カルマーン派の諸侯を撃滅した。アポストル公は、ルセト大公の母であるエルセベート妃の父、外戚であり、その身の奪還をはかっていた。