秋の装い

すっかり秋になったある日、鈴白家にて。 「おねーちゃん、まだー？」 「もーちょっと待ってよ、確かこの辺りにしまったはず～」 「早くしてー。服着てないと肌寒いよー」 出掛けようとしたら、おねーちゃんに「秋服をあげる」って捕まっちゃいました。凪さんと待ち合わせしてるのに・・・。 「あ、あったよ瑞葵。はい、これ着てってー」 「ありがとー」 おねーちゃんは服作りが趣味だからこうやって新しい服をくれるけど、ちょっと服が多すぎだと思います。フリーマーケットで売れば買ってくれる人沢山いるのに。 「おねーちゃん、着たよ。こんな感じ？」 「んー？何か違うなー。こっち着てみてくれる？」 似た感じの別の服を出してくるおねーちゃん。こだわり強いんだから。 「えー、もういいよー。凪さん待たせちゃうよ」 「大丈夫、早渚さんもきっと可愛いって言ってくれるよ」 「待たせちゃうのが問題だと思いまーす」 「妥協した服で会う方がデートとして問題だと思いまーす」 ああ言えばこう言うんだから。双子なのに性格ちっとも似てないです。 「分かったよ、そっち着ていくからちょーだい」 「・・・へー。デートなのは否定しないんだ？ふーん、エッチじゃん」 「デートはえっちじゃないもん！」 「でも瑞葵はえっちでしょーが」 ホント、ああ言えばこう言うんだから！おねーちゃんのばか！ 「凪さん、遅れちゃってごめんなさい」 「大丈夫だよ。鈴白ちゃん、その服似合ってるね。夏とガラッとイメージ変わってびっくりしたよ。髪型も可愛く決まってて凄く良いね」 凪さん、言い慣れてる感じします。やっぱりお仕事で綺麗な人をいっぱい撮るからなのでしょうか。でも、褒めてもらうと心がぽかぽかします。そうなるとやっぱり、ちょっと意識して欲しくなっちゃう。 「ありがとうございます。でも・・・『こっち』は夏と一緒ですよ？」 ちょっとスカートをめくってみると、凪さんの視線がそこに注がれるのが分かっちゃいます。ちょっと赤くなってる凪さん、かわいい。 「鈴白ちゃん、いつも言うけどさ・・・」 「ごめんなさい、凪さん。もうしません」 自分でもウソついちゃってるなって分かります。きっとまた凪さんには見せちゃう。やっぱり私って、おねーちゃんの言う通りちょっとえっちなのかも。 でも仕方ないと思います。凪さんが下着姿で川遊びする私を撮影したあの日から、見られる事にドキドキしちゃうのに気づいちゃったから。凪さんには私を目覚めさせちゃった責任を取ってもらわないと。 「これからも、私をちゃんと見て下さいね」