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通学路、オールグリーン!
私の住むこの町にもスクールゾーンがありますが、その中でも特に安全だと言われている通りがあります。通称「みまもり通り」と呼ばれるその路地は、両側に子供たちの登下校を見守ってくれる住人がいるのです。 北側の家にはロンリコさんというイラストレーターの男性が住んでいます。もちろん本名ではなくペンネームでしょうね。子供たちの登下校の時間帯には玄関先に出てきて、優しげな表情を浮かべて腕を組み子供たちを見守ります。絵が上手く、勉強を教えるのも上手なので、特に女子からは人気があったようです。放課後になるとよくロンリコさんのお家にお邪魔する女子の姿がありました。 南側の家には、田所鋤(たしょずき)さんという専業主婦の女性がおり、ロンリコさん同様子供たちの登下校を見てくれます。こちらはもっぱら男子に人気で、特に半ズボンの少年には優しいという噂があり、男子は皆半ズボンを好んで履いたものです。 ただ、田所鋤さんは普段は優しいお姉さんなのですが、「おばさん」などと呼ぶと恐ろしい事になります。私は小学生の時分、悪友と一緒に彼女を「見守りおばさん」と呼んですぐに逃げた事がありましたが、私だけ彼女に捕まって家に連れ込まれ、半ズボンとパンツを脱がされた上で田所鋤さんの膝に乗せられ五分以上もお尻を叩かれた事があります。最終的に私が涙ながらに「ごめんなさいお姉ちゃん許してください」と言ったら「お姉さんもごめんね、痛かったね」と言ってお尻を撫でて労り許してくれたのですが、それ以降私は彼女を決して「おばさん」とは呼びませんでした。今の時代だったらよその子供を捕まえて尻叩きなんて大問題ですが、当時はまだ・・・いや、待て?当時でもグレーゾーンじゃないか? 私がすっかりおじさんカメラマンになってしまった今でも、お二人は当時と変わらない姿で今日も子供たちを見守っています。子供たちから若さと元気を分けてもらっているから老けないのでしょうかね。こんな風に優しい人たちがいるあたたかい地域というのはいいものですね。