心霊探偵アリス　三章

第3章: 友人の証言 アヤカの親友、田中美咲の家に到着したアリスは、ドアをノックした。 「はい、どちら様ですか？」ドアを開けたのは、アヤカと同年代くらいの少女だった。 「初めまして、私はアリス・鈴木です。アヤカさんの捜索を手伝っています」アリスは自己紹介した。「あなたが田中美咲さんですね？少しお話を伺えますか？」 美咲は少し躊躇したが、アリスを家の中に招き入れた。 「アヤカのこと、何かわかったんですか？」美咲の声には、心配と期待が入り混じっていた。 「調査を始めたところです」アリスは静かに答えた。「美咲さん、アヤカさんが失踪する前、何か変わったことはありませんでしたか？」 美咲は少し考え込んだ。「そうですね…約1ヶ月前から、アヤカが古い寺院に通い始めたんです。最初は興味本位だと言っていたんですけど…」 「その寺院で、何をしていたんですか？」 「詳しくは話してくれなかったんです。でも、『特別な力が得られる』とか言っていて…」美咲は言葉を詰まらせた。「私、あの寺院、怖いんです。何か、邪気みたいなものを感じて…」 アリスは身を乗り出した。「邪気？どんな感じでしたか？」 「うまく説明できないんですけど…寺院の近くを通ると、急に寒くなったり、誰かに見られているような感覚になったり…」美咲は肩をすくめた。「気のせいだと思っていたんですけど」 アリスは頷いた。美咲の証言は、彼女の予感を裏付けるものだった。その寺院には、普通ではない何かが潜んでいる。 「最後にアヤカさんに会ったのは、いつですか？」 「失踪する2日前です。その時、アヤカは興奮していて、『すごいことが起きる』と言っていました。でも、詳しくは話してくれなくて…」美咲の目に涙が浮かんだ。「私、もっとしっかり聞いておけば良かった」 アリスは優しく美咲の肩に手を置いた。「あなたは悪くありません。アヤカさんを必ず見つけ出します」 家を出たアリスは、次の目的地、アヤカの通っていた高校へと向かった。街を歩きながら、彼女の中で事件の輪郭が少しずつ明確になっていく。 古い寺院。特別な力。仮面の男。 そして、アヤカの霊が見せた恐怖の映像。 これらは全て繋がっている。アリスはそう確信した。しかし、その全容を掴むには、まだピースが足りない。 高校に到着したアリスは、深呼吸をして校門をくぐった。ここで新たな情報を得られることを、彼女は祈った。