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死闘 臨海の食物連鎖
クマ耳を付けた可愛らしい獣人の少女が、海辺で佇んでいる。 「お腹空いたクマ……」 とそこへ。 「おーい、プーにゃん!!食べ物……、じゃない、仕事見つかったよ!!」 相棒のドワーフ娘、チェルキーが走ってくる。 「やったクマ!!」 途端に憂いの表情が消し飛ぶ熊娘、ことプーにゃん。 「チェチェ、何を食べる、何を退治するクマか?」 走りながら食欲を抑えきらないプーにゃん。 「クラーケンだよ!!」 「クマ?」 途端に動きが止まったプーにゃん。 「山に……、クラーケンはいなかったクマ……」 「大丈夫大丈夫。プーにゃんカタツムリよく食べるじゃん。にたようなもんだよ」 「本当クマか~?」 疑わし気に首をかしげるプーにゃん。なんか、くまっぽいものぐさな様子である。 「今の時期のクラーケンは、おなかの中に卵がたくさん詰まっているらしいよ!!」 そのまま浜辺で昼寝しそうなプーにゃんだが。チェルキーの言葉に。 「食べるクマ!!」 はちみつと卵はプーにゃんの大好物である。 「しっ、しまったクマ!!」 クラーケンの触手にからめとられたプーにゃん。 巨大な海生生物は、陸上動物最大級のヒグマの体格を凌駕する。 ギリギリ締め付けられるプーにゃんだが。 「なめるなクマ!!」 プーにゃんは、クマの咆哮を上げると、絡みつく触手を食いちぎった 「クマは雑食だクマ!!」 熊のかぎづめに変化した両手を振りかざすプーにゃん。 心なしか背後にけったいな熊のオーラが湧き上がっている。 「卵よこすクマ!!」 数分後。 全身をかぎづめでひっかかれ、戦斧でイカそうめんにされた、クラーケンが浜辺に転がっていた。 「たくさん卵取れたクマ。どうやって食べるクマ?」 「あたらしいうちは生でいけるらしよ。潮の香りがしておいしいんんだって!!」 二人仲良く、烏賊をさばいて、卵を取り出すのだった。