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母と息子の異母妹と
「アーゼリン様、少しよろしいだろうか」 グレドーラは、冒険者の宿のアーゼリンの私室のドアをノックする。 「どうぞ、はいられよ」 中に入ると、そこには普段の鎧と剣で武装した冒険者姿ではなく、 ミニスカートとセーターというシンプルな部屋着を着た美女がいた。 柔和な微笑を浮かべ佇むアーゼリンの、スレンダーな体の線が浮き出るその装いに、グレドーラは同性ながらも頬が少し赤らんだ。 「少し時間を戴いてよろしいだろうか」 「ああ。かまわないぞ」 ベットにグレドーラを誘うアーゼリン。 二人は自然な流れでベットの上に座り会話を始める。 「ゴルドンに、素晴らしい妹がいて喜ばしいな」 会話をしながら、愛おしげな瞳でグレドーラを見つめるアーゼリン。 「そのようなことは。私はまだ未熟で兄上には遠く及ばぬ」 他意のない賞賛には慣れていないのか、うろたえながらも謙遜するグレドーラ。 「いや、あなたが両親から愛されて立派に育っている事がわかる。 貴方の母上に面識はないが、クラーグが選んだ女性だ。 とても素晴らしい女性であろう」 自然体で、グレドーラの両親を褒めたたえるアーゼリン。 (これがあにさま、兄者の母上か。兄者の強く優しき心は母上から受け継いだものなのだな) グレドーラは、敬愛している兄へ、同時に持っていた敵愾心が薄らいでいくのを感じていた。