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雨とコートの戦巫女
雨の中、オークの女性、まだ若い、それも結構な美女が誰かを待っている。 ずぶ濡れになるにもかかわらず、レインコートのフードを外して素顔をさらしている。 戦の神の女性神官、戦巫女らしい。 「兄者……」 人間やエルフ女性の中に混じっても、なお美女と言える彼女だが、やはりかなりの長身だ。 そんな彼女の前に現れたさらに二回り以上巨大な人影。 「ハッ!!」 気合と共に、彼女の右手が光り輝き、空気を何かが伝わる。 「ぬん……」 巨大な人影、彼女の兄も同じく、気合一つで魔法を打ち消した。 「腑抜けてはおらぬようだな。兄者……」 相変わらずの頑強な身体とゆるぎない精神力を見せつけられて、彼女は構えを解く。 「だが……、あの娘は兄者にはふさわしくない……」 戦巫女は、雨に濡れたまま静かに呟いた。