最後の雨、最初の約束/スマホ壁紙アーカイブ
シリーズ「ドラマチックレイン」No.3 今回はファイナルファンタジー的な世界観を想像しながらイラストと物語を完成させました。よかったらスマホの壁紙にどうぞ。 【最後の雨、最初の約束】 世界の果てまで降り続ける、終焉の雨。 それは、忘却と滅びを運ぶ魔の雨と呼ばれていた。 蒼き帝国と紅の王国── 幾千の命を呑み込んだ終わりなき戦火の時代。 その狭間で、誰にも知られることなく交わされた約束があった。 ひとりは〈黒蓮の巫女〉。 帝国の禁断の力を宿し、孤独の檻に囚われた少女。 ひとりは〈千の刃の騎士〉。 滅びを背負い、王国最後の光と謳われた少年。 幼き日、たった一度だけ交わした「また、雨の日に会おう」という言葉は、 歴史の頁にも記されず、風にすら忘れられた約束だった。 だが、時は巡り、雨は告げる。 二つの影は終焉の庭で重なり合う。 黒き傘の下、ふたりは言葉よりも確かなものを見つける。 それは剣よりも鋭く、魔法よりも強い、ひとつの願い。 この雨が止むとき、 世界が終わるのか、約束が叶うのか── 運命の歯車は、静かに、確かに動き始めていた。