250212
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小説の設定を妄想していたので宣伝用?としてちょっとだけ書いた。パート2 --- 今日の授業が終わり、カバンを手に席を立とうとした、その瞬間——。 「ちょっとアンタ、そこで立ってなさい」 静かに響いた声に、全身がこわばる。 まるで喉を締めつけられたみたいに、息が詰まった。 上級国民にそう言われたら、従うしかない。 ここで長く生きていくには、空気を読む力が必要だ。 反抗なんて許されない。逃げることもできない。 昨日、少しだけ反抗的な態度を取ってしまった彼女は、一日中バイブを作動させられ、ひどい目に遭っていた。 当然、授業を妨害した彼女は指導室送りだ。 バイブを動かしたのは上級国民たちだけど、授業中に騒ぎ、風紀を乱したのは彼女なのだから……。 次のオモチャになりたくない。そう思っていると足が勝手に動き出し、黒板の前でピタリと足を止めた。 教室の視線が一斉に集まり、すぐに抑えきれない笑い声が漏れ始める。 ウフフ……クスクス……。 クラスメイトたちの視線が、私の姿を上から下までなめ回す。 その冷たさが、服の汚れよりもずっと、まとわりついて離れない。 ——見られている。笑われている。 慣れたはずなのに、改めて思い知らされる。 今の私は、どうしようもなく惨めだ。 私は涎が垂れないように、顔を上げたままじっと指示を待つ。 下を向くことは許されない。 少しでも顔を伏せれば、溜まった涎が一気にこぼれ落ち、さらにひどいことになるから——。 --- この学校には本来、制服がない。 でも、私たちには淡いクリーム色の制服が支給される。 今日も一日中、開口ギャグのせいで口を塞がれたまま、涎を止めることができなかった。 制服はすっかり濡れ、べっとりと汚れているだろう。 最初はそこまで気にしていなかった。 でも、今ならわかる。この制服がなぜこの色なのか——。 涎が落ちると、濡れた部分がじわじわと広がり、色が濃くなってハッキリとわかる。 乾いた後には黄ばみが残り、それは何度洗っても完全には落ちない。 何度も繰り返されるうちに、うっすらとした跡が幾重にも重なり、もう元の色には戻らなくなる。 たった一着しかない制服は、今やシミだらけで見る影もない。 けれど、長くこうしていると、なんとなくわかってくる。 どれだけ汚しても、すぐに洗えば意外と大丈夫なものだ。 汚れが完全に定着する前に、少しでも早く洗いたい。 だから早くボイラー室に帰って洗いたいのに……。 いったい、私はあとどれくらい、こうして立たされるんだろう。