漆黒の湧源に揺蕩う黎明の余韻

険しい山道を抜けた先の臨時キャンプ。そこに、ほっそりとした耳を持つエルフの女戦士――名をコフィアという――が、木の支柱に背を預けながら佇んでいた。赤銅色の甲冑は今日も幾度かモンスターの血に染まり、それを拭う手つきはどこか雑だ。傍らでは、背の低いドワーフの男が無口に鎧の継ぎ目を点検している。二人は同じパーティだが、なぜかいつも張り合っていた。 「おいコフィア、また勝手に動いて危なかったぞ。お前が囮になったせいで、こっちはつられて突撃しちまったじゃねぇか」 「えー、うまくモンスターの横から斬り込めたでしょ？　結果オーライってやつよ」 　ドワーフはむすっとした顔で唸る。二人のやり取りをはたから見守っていた人間の若い戦士たちは、どこか呆れたように目をそらした。どうやらこのエルフとドワーフ、決定的にソリが合わないらしい。 夜の闇が降りてきて、みなが食事のために集まり始める。そこへ整然と並んだ自動販売機の姿が目に入ると、コフィアの表情がぱっと明るくなった。 「えへへ、今日の報酬でコーヒー買っちゃおっと」 「魔法で淹れたほうが早いんじゃないか？」と、隣の若手戦士が訊く。 「それもいいけど、豆から挽くタイプの自販機って格別じゃない？　わざわざ装置に硬貨を入れて、コポコポっと落ちるあの音を聞くのがいいんだよ。恋と一緒だな」 「……なんかよく分かんないけど、コフィアらしいな」 　その会話に割り込むかのように、別の戦士が言った。「俺はコーラにする！　炭酸がきいたほうが疲れ吹っ飛ぶからな」 「冗談、顔だけにしろよ。コーヒー党としては許せないわねぇ」コフィアは笑みを浮かべる。 すると年配の騎士が声を張り上げて、にやりと懐かしそうに鼻歌を口ずさむ。 「昔アラブのえらいお坊さんが～♪　ほら、コーヒールンバってやつだ」 「ん？　荻野目ちゃんですか？」誰かが小声で返す。 「はー？　陽水でしょー？」 　若い戦士たちはお互いの顔を見合せて首をかしげる。「何の話？」という様子だ。 「荻野目洋子と井上陽水がコーヒールンバを歌っていたんだよ。まあ、だいぶ昔だがな」 「へえ～。って、あんた一体いくつなんだ？」 　その問いに、年配の騎士は視線を泳がせつつ肩をすくめる。「それは言わないよ」 周囲が賑やかになる中、コフィアはちゃっかり自販機で挽きたてコーヒーを買って、鼻先に湯気を感じながら一口すすった。 「んー、やっぱ豆から挽くタイプは違う！　香りも深みも、何もかもいいわ。コーヒーは苦いんだよ。恋と一緒だな」 　それを聞いたドワーフはあからさまに嫌な顔をする。「お前、そもそも恋なんかしたことあるのかよ」 「その点は聞かない約束よ。さあさあ、あなたも一杯いかが？」 「俺はコーヒーなんざ飲まねぇ。どこぞのエルフが同じ空気を吸ってるだけでも胸やけしそうだからな」 「ふぅん？　まあいいや。二杯目買って私が全部飲む」 　コフィアのわがまま発言にも、周囲の若い戦士たちは苦笑いを浮かべるしかない。結局、彼女が機嫌良く動くなら、これが一番平和なのだ。 さらにその夜、ちょっとした小さなモンスターの残党を討伐し終えた一行は、改めて宴会めいた空気を楽しんでいた。焚き火がぽうぽうと音をたて、その火の粉を眺めながら、コフィアは満足そうにコーヒーのカップを傾ける。向こうではドワーフが苦虫をかみつぶしたような顔で同僚らとコーラを分け合っていた。どうにも会話が成立しない二人だが、彼らなりの距離感で同じ夜を過ごしている。 「さて、明日もモンスター退治か。今度はもうちょっとまともな作戦を考えてくれよ」とドワーフが毒づき気味に言うと、コフィアは鼻歌まじりで応じた。 「任せてよ。上手に囮になってあげるからさ♪」 やがて夜も更けて前線宿営地は小康状態。皆そろって明朝に向け英気を養う時間とする。 　そして深夜、澄んだ風が砂粒のように星の光を散りばめる空を飛び渡ります。雲は点在する島々のように闇を漂い、その合間から小さな光芒がいくつも微笑むのです。休息を得た戦士たちのまどろみは、淡い夢に誘われながら穏やかに広がっていきます。彼らの始まりかけた物語は、闇と光が交差するこの瞬間に、香ばしく優しい余韻を織り上げるのです。明日の曙がどのような冒険をもたらすにせよ、コーヒーの香りはいつまでも、その心を支えてくれるでしょう。 ------------- 話題のdeepseekをやってみました。 deepseekとo1とo3miniに同じ指示でライトノベルを書いて貰って検証。 結果。O1がいい。 deepseekは文体は文学的？で話しも面白いけど支離滅裂。文字数は指定に足りない。 o1は全体的に辻褄が合っていて文字数も合っていそう。 o3miniは伝説のお坊さんが詩を読んだ事になっていた。 o1を使いこんでいるので過去のチャットからこちらの意思が伝わりやすい部分もあるだろう。 累積では40を一番使ってるけど最近うまく行かないんですよね。