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温かい食事を
「久しぶりだな。デル」 前線の調理場で忙しく働くドワーフ炊事兵に、ダークエルフの中尉が声をかける。 「あっ、アズ 来てくれたんだ。 ・・・・・・ 歓迎するよ」 デルと呼ばれたドワーフは、一瞬目を伏せたあと、友人との再会を喜ぶように笑顔を浮かべる。 「お腹空いているでしょ。食べていく?」 「ああ……、頂こう」 パンのような生地の上に、具材が乗せられて焼かれた、料理を差し出すデリシア。 「戦場でピザが食べれるとはな」 久しぶりの温かい食事だったのか、ダークエルフ、アーゼリンは、感情が乏しそうに見える顔に微笑を浮かべる。 「何事も工夫次第だよ」 どうやら、鉄の弾薬箱を流用してオーブンを作ったらしい。 「私には……、これしかできないからね……」 ドワーフの炊事兵の瞳には、強い使命感が浮かんでいた。