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笑顔

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2024年08月29日 16時01分
参加お題:

微笑みの迷宮と笑わぬエルフ 第一話: 不思議な森の笑顔の試練 エルフの女戦士、スマイルディアは、自分の笑顔を取り戻すため、伝説の「笑顔の迷宮」に足を踏み入れた。この迷宮は、笑顔を忘れた者が挑む試練の地だと言われている。 「おい、スマイルディア、本当に行くのか?」 隣に立つドワーフのグリンが不満げに尋ねる。彼女とグリンは、どういうわけかいつも一緒に冒険しているが、相性は最悪だ。 「もちろんだよ、グリン。笑顔は勇気だよ。恋と一緒だな。」スマイルディアは、迷宮の入口で胸を張り、微笑む――つもりだったが、その顔はまるで怖いお面のように固まっていた。 「冗談、顔だけにしろよ…」グリンは顔をしかめた。 二人は迷宮に足を踏み入れる。そこは光と影が交差し、笑い声が風に乗って流れてくる不気味な場所だった。最初の部屋に入ると、巨大な鏡が目の前に現れた。 「これが試練か?」グリンが疑問の声を上げる。 鏡に映った自分の姿を見た瞬間、スマイルディアは驚いた。自分の顔が、全く笑っていない。むしろ、彼女の笑顔は悲しげなものに見えた。 「これは一体…」スマイルディアが考え込んでいると、鏡から謎めいた声が響いてきた。 「お前の笑顔は偽物だ。真の笑顔を見せるまで、この迷宮からは出られない。」 「真の笑顔?どうすればいいんだ?」スマイルディアは鏡に問いかけるが、返事はない。 「お前が笑わないと、俺たちここで死ぬのか?」グリンが焦った様子で聞く。 「大丈夫だよ、グリン。笑顔は、心の底から湧き上がるものだよ。恋と一緒だな。」スマイルディアは、自分に言い聞かせるように呟いた。 次の部屋では、笑いを誘うような光景が広がっていた。愉快なピエロたちが滑稽な動きをし、笑い声が絶えない。しかし、スマイルディアの顔は固まったままだ。 「冗談、顔だけにしろよ…」グリンが再び突っ込みを入れるが、スマイルディアは無視して先に進む。 かつて、スマイルディアの明るい笑顔は、村中の人々を元気づけ、どんな困難な状況でも、彼女の笑顔を見るだけで皆が希望を取り戻したものだった。 だが、ある日、村が突然の襲撃を受けた。魔物の群れが押し寄せ、村は壊滅的な被害を受けた。スマイルディアは、戦士として村を守ろうと必死に戦ったが、圧倒的な敵の力に対してどうすることもできなかった。 その戦いの最中、彼女の大切な友人であり、師匠でもあったエルフの剣士エリオンが、彼女を庇って致命傷を負った。 「ごめんね、エリオン…私のせいで…」 エリオンは微笑みながら、かすれた声で答えた。 「スマイルディア、泣かないで…笑顔を忘れないで…」 それがエリオンの最期の言葉だった。彼女はその後も戦い続け、村を守り抜いたが、エリオンを失ったショックから立ち直ることができなかった。 それ以来、スマイルディアの心の中には、笑顔を浮かべるたびにエリオンの言葉が蘇り、彼の死を思い出してしまうようになった。そして、次第に彼女は笑顔を作ることができなくなり、心の中に重い闇を抱えるようになってしまった。 そして彼女は、エリオンの言葉を胸に秘めたまま、笑顔を取り戻すための旅に出ることを決意した。それが「笑顔の迷宮」への挑戦の始まりだった。 最終的にたどり着いた部屋は、巨大な天秤が中央に置かれている場所だった。その天秤の片方には重たい石が乗っており、もう片方には何もない。 「これが最後の試練か?」スマイルディアは、天秤の前に立つ。 「その石は、お前の心の重荷だ。それを軽くすることで、お前の真の笑顔が現れるだろう。」再び謎の声が響く。 スマイルディアは、じっと天秤を見つめる。自分の心の重荷とは何かを考えながら。 「グリン、私の心の重荷って何だと思う?」スマイルディアが素直に尋ねた。 「お前が本当に笑いたいのかどうか、じゃないのか?笑顔は無理に作るものじゃない。自然に出てくるもんだ。」 グリンの言葉に、スマイルディアはハッとした。彼女は、無理に笑顔を作ろうとしていたことに気づいたのだ。そして、深呼吸をして、心を解放するように微笑んだ。 その瞬間、天秤の石が軽くなり、空に浮かび上がった。迷宮全体が光に包まれ、二人は元の場所に戻ってきた。 「お前、少しは変わったか?」グリンが呆れたように聞く。 「うん、笑顔は重荷を捨てることだよ。恋と一緒だな。」スマイルディアは、自然な笑顔を浮かべて答えた。 静かに夜空を見上げると、星々が微笑むかのように煌めいている。風は優しく頬を撫で、雲はまるで世界を包み込むように広がり、空は無限の広がりを見せている。この瞬間、全てが一つに溶け合い、まるで永遠のように続く時間の流れに身を委ねる。自然の中で、全ては穏やかに息づいており、まるで私たちの心もその一部であるかのように感じられる。この広大な空の下で、私たちはただ一つの笑顔を持って、無限の未来へと歩んでいくのだ。

コメント (2)

ガボドゲ
2024年08月30日 01時02分
JACK
2024年08月29日 17時12分

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いいねコメントありがとうございます。忙しくなって活動を縮小しています。返せなかったらすみません。

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