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バニー

8

2024年08月20日 15時03分
参加お題:

月下の跳躍 - 狂気と兎の仮面 エルフの戦士、黒月は、数々の戦場でその名を轟かせてきた。だが、彼女の最近の行動には、仲間たちも頭を抱えていた。先日は黒猫になりきっていたかと思えば、今度はうさぎだというのだ。 ある朝、黒月はバニーガールの衣装を身にまとい、ピョンピョンと跳ね回りながら現れた。「皆さん、おはようございましゅ~♪」と、耳までピンク色に染めた彼女が可愛らしく挨拶する。 仲間たちは、一瞬何が起こっているのか理解できなかった。ガルドが口を開く。「おい、黒月、何やってんだ? まさか…今度はうさぎか?」 黒月はにっこり笑い、うさ耳をピンと立てた。「そうよ、私は可愛いうさぎさんなの。恋と一緒だな、うさぎでいるのが一番しっくりくるの!」 ガルドは深いため息をつき、「冗談、顔だけにしろよ…」と呟きながらも、その姿を見て目を細めた。実は、そのバニー姿が彼女の魅力をさらに引き立てていることに気付いていたのだ。 村の男たちは、彼女のバニー姿を見るために毎日のように彼女の元に足を運んだ。黒月はうさぎのように跳ね回り、彼らを元気づける。いつしか、彼女は村の人気者となり、その噂は広がり始めた。 リルカがその様子を見て、苦笑いを浮かべる。「まさか黒月がこんなに人気者になるとはね。うさぎ姿って意外とイケるのかしら?」 ガルドは肩をすくめて、「俺には理解できんが、まあ、本人が楽しんでるならそれでいいんじゃないか?」と呟いた。 黒月の人気はますます高まり、ついには村の長老からも褒められるようになった。「黒月のような戦士がいることは、この村にとって誇りじゃな。」 しかし、そんな日々が続く中、黒月は次第に何かが違うと感じ始めた。彼女は、自分が本当のうさぎでないことに気付き始めたのだ。ある日、彼女はじっと自分の姿を鏡に映し出し、ふと呟いた。「私は…一体何をしているのかしら?」 その瞬間、ドアが勢いよく開き、ガルドが駆け込んできた。「おい、黒月、大変だ!村の東に巨大なオークが現れた!」 黒月は驚きながらも、すぐに装備を整えた。そして、うさ耳を取って真剣な表情を見せた。「ガルド、行こう。恋と一緒だな、戦いが私の本分よ。」 彼らはすぐに村を出発し、オークの脅威に立ち向かった。黒月は戦場で再びその真の力を発揮し、見事にオークを討ち倒した。その姿は、うさぎではなく、かつての戦士としての威厳に満ちていた。 夜空には、白い雲がゆっくりと流れ、銀色の月がその影を淡く照らしていた。風は冷たく、星々は静かに瞬きながら、遠くから届くような囁きを奏でていた。黒月は、澄み切った夜空を見上げ、深く息を吸い込んだ。その胸には、戦士としての誇りと、うさぎであった日の記憶が、同じ重さで存在していた。彼女の周りを取り囲む自然は、まるで彼女の心の中の葛藤を知っているかのように、静かに、そして力強く寄り添っていた。その瞬間、彼女は再び、自分の使命と存在の意味を見つめ直したのだった。

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