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黒き月影の咆哮 - 猫の微睡みと戦士の夢

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2024年08月19日 15時01分
参加お題:

エルフの戦士、**黒月(くろづき)**は、村の平和を守る誇り高き戦士だった。だが、彼女には一つ、誰にも言えない秘密があった。それは、彼女が密かに抱える「猫好き」という情熱である。 戦場から帰還した黒月は、いつものように町外れの黒猫たちと戯れていた。その日、ふと「自分も猫だったら」と強く願った瞬間、何かが彼女の中で変わった。 次の日、黒月は猫耳と尻尾を装備して現れた。「どう? 可愛いでしょ?にゃーん♪」と、嬉しそうに跳ね回る彼女に、仲間たちは目を見張った。 相棒のドワーフ、ガルドが呆れ顔で言った。「黒月、それはどう見ても変だろう。早く元に戻れよ。」 しかし、黒月は全く気にせず、むしろ自分が猫であることに誇りを持っているかのようだった。「ガルド、冗談、顔だけにしろよ。私が猫であることに、何か問題でも?」 他の仲間たちも、何とか黒月を元に戻そうと様々な策を講じたが、どれも効果がなかった。黒月は「にゃーん♪」と気まぐれに猫の真似をしながら、恋と一緒だな、とつぶやいた。 そんなある日、黒月は街の片隅で一匹の雄猫に出会った。その美しい毛並みと、鋭い瞳に一目惚れした黒月は、彼に近づこうとした。しかし、その猫は冷たく黒月を無視し、さっさと姿を消してしまった。 「にゃ、にゃーん……?」黒月は呆然と立ち尽くし、目を見開いた。そして、徐々に正気を取り戻していった。 数日後、黒月は再び普通の戦士の姿に戻り、何事もなかったかのように振る舞っていた。しかし、仲間たちは知っていた。彼女があの日、何を感じたのか。そして、彼女が再び猫になるかもしれないことを。 その夜、静寂に包まれた空には、黒き雲が悠々と浮かび、月の光がその隙間から漏れ出していた。微かに揺れる星々は、遠き宇宙の彼方で語られる永遠の物語の如く、彼女の胸に深い余韻を残す。黒月は空を見上げ、かつての自分が夢見た世界を思い出していた。風は優しく頬を撫で、彼女の髪をそっと揺らす。まるで、かつて黒猫だった日々が、風の囁きの中に微かに残っているかのように。彼女の心は、もうその微睡みの中に溶け込むことはなかったが、その記憶は、夜空の一部として、永遠に彼女の中に輝き続けるのであった。

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