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セピア色の迷い人
「かわいい子ね」 シルビアが手に取った写真を見て呟く。 セピア色の写真には、黒髪の可愛らしい少女が、水兵服に似た服を着て映っている。 「おかしいわね。結構古い写真で街並みも昔なのに……」 少女の服装は、どうもどこかの学び舎の物のようだが、写真そのものや風景と違って古臭さを感じない。 「そんな昔じゃないぞ、ほら、私も今とあまり変わら」 「お母様には聞いてないです」 横からしゃしゃり出てきた母を遮るシルビア。 「その子は、迷い人だぞ……」 自分の写真を見せびらかそうとして却下されたアーゼリンは、しょんぼりしながら呟いた。