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誕生日
「そういえば、母者は何歳になったのだ?」 アーゼリンの誕生パーティで、ゴルドンがバースデーケーキの前に座った母親に話しかける。 集まった誰もが疑問に思っていたことだ。 「そうだな。今日で24歳だ」 「はい、しれっと嘘言わない。ポンコツダークエルフ」 すかさず、蝋燭を準備していたシルビアが突っ込む。 「24歳と、500か1000か……」 ざわ……。 並外れて長寿なダークエルフだ。周囲は若干ひきながら受け入れる。 「はいはい。ぶっとい蝋燭一本かしら、5本でいいかしら」 シルビアは天然な母には慣れっこなのか、かまわずに蝋燭を追加しようとする。 「ダークエルフは時や年齢の概念が薄くてな。私も人間の国に出て、初めて誕生日の祝いについて知った」 「ふーん、そうなると、誕生日が今日というのも怪しいわね」 結局ぶっとい一本を用意して軽く流すシルビア。 「いや、それははっきりしているぞ。 シルビア、お前が生まれるに合わせて、私の誕生日を、レオン、お前の父と決めたのだ。 レオンが私に、初めて剣だけで打ち勝った日だ」 「えっ、そうなの。知らなかった……」 その話は初耳だったのだろう。若干の感慨を持って驚くシルビア。 「そして、お前を身籠った日だ」 とんでもない天然爆裂攻撃を食らって、シルビアは狼狽えることもできずに固まった。