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亀ら、シャーマン、レンジャーと
「わー、暴れガメだ!!」 「逃げろ!!」 巨大な亀、人ほどの大きさの亀、小型の亀が、それぞれ暴れまわっている。 中には、鋭い牙が生えて、口らからちらちら炎が見えているものまでいる。 「ちょ、ちょっと、危ないぞ!!そっちは!!」 人々の流れに逆らい、暴れガメの方に進む、女性が一人。 とがった耳に、褐色の肌。 ダークエルフらしい。 ダークエルフの美女は、亀たちの前に立つと、何事か不思議な言葉で呟く。 そのとたん、亀たちは何かの憑き物が取れたかのように、暴れくるっていた動きが止まる。 さらに、ダークエルフは、巨大な亀のそばに寄り添い、その甲羅と頭を撫でてやっている。 「さすが、アーゼリン殿、まさか暴れガメさえも手懐かせられるとは」 亀は、竜の眷属として恐れられ、かつ敬われている存在だ。 時折起こる亀の暴走は、天災としてあきらめるしかすべを知らない人々もいるのだ。 「このぐらいは、何ほどの事でもない」 さほどの事でもないかのように、動じることもなく、大亀の甲羅とその背中に乗る子亀を撫でる、アーゼリン。 「あ、こら。お尻をつつくな」