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トマトの聖母
森の中の小さな農地で、エルフの子どもたちが野菜を収穫している。 なかなか見事な、おいしそうなトマトだ。 「あっ、変なおばさんたちがいる!!」 「やっつけろ~!!」 子供たちが手にしたトマトを投げつける だが、ダークエルフの女性が、トマトがぶつかる寸前に、レイピアを抜いた トマトは二つとも、彼女のレイピアに刺さっていた 「わ~、すご~い」 子供たちはトマトを投げつけたことも忘れて感嘆の声を上げる 「こーらー、あなたたち、食べ物を粗末にしちゃダメでしょう~」 ハーフエルフの魔術師が、たれ目のかわいらしい顔を凄めて言うが……。 「うん、お前たち。このトマトはなかなか美味しいな」 マイペースなアーゼリンであった。