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黒天使と銀褐色の妖精

東京 JAPAN アキバ オタクショップ 「さっすが、文化の最先端アキバのオタクショップ。  ここには、オタク文化のABCがそろっているわ」   金髪ポニーテールが、尻尾を振り振り、あたりを見回しながら、オタクショップの中を歩いている。 友人は、試着した衣装を着替えているので、彼女一人だ。 危険がいっぱいだ!! 「アニメーション(Animation)」 「ビデオゲーム(Bideo Game?)。 スペル違うわね。なぜかしら?」 それぞれの一角を見やりながら呟く 「コミック(Comic)!!」 (コスプレのCとか、だれか言ってたっけ) 「御宅さん、アカギさんの格好でどこ行くのかな。横須賀で空母見学かしら。今、空母トランプ来ているし」 怪しげな知識を呟きながらプラプラ歩いているのだけど。 「あれ、あの辺は、さっきまではすっごく混んでいたんだけど」 金髪ポニーテールの友人こと、御宅さんは、混んでるからあの辺は行くのはやめましょう、と言ってスルーしていたのだ だけど今は、金髪ポニーテールことブロント少尉の方を見るでもなく、最後の一人がす~と、売り場から消え去っていく。 がらがらだ。 「なにかしら。お客さん一人もいなくなって、って、あれ?」 ふと少尉の目は、売り場に据え付けられたテレビにくぎ付けになる。 ちょうど、宣伝のためのデモシーンが再生されているところだ。 「あら、かわいい子ね。異世界もの、エルフなのかしら」 画面には、狩人か猟兵的な、動きやすい服装に皮鎧を着て、弓矢と剣を持った少女が映っていた。 ちょうど、ブロント少尉と同じぐらいの年齢設定だろうか。 少女の耳は尖っていて、肌は褐色だ。 体つきは細身で銀色の髪なので、儚さと精悍さが同居した不思議な魅力を感じる。 少尉は呼び名を知らなかったが、ダークエルフと言われる種族だ。 知能が高く、敏捷で器用、弓と魔法に優れ、剣も扱える。ついでに邪神を信仰することもある。 「強い~。かわいい~ なんか、シルビア伍長に似ているかも…… 銀魔戦姫(Silver demoness)って感じ 」 シルビア伍長に聞かれたら、風呂場で足元に石鹸を転がされコケさせられそうなことを呟くブロント少尉。 ダークエルフの少女は、その設定どおりの強さで、剣と弓矢を使って、敵の山賊やモンスターを倒しまくっている。 「ああ、卑怯、そんなにたくさんで襲い掛かるなんて!!」 沢山の山賊とモンスターに囲まれて、剣を弾き飛ばされたところで…… 「ブロン子ちゃん!!」 なぜか非常に焦った声で、友達の御宅さんが呼びかけてきた。 「あっちに、ブロン子ちゃんに似合いそうな服があったわよ!!」 「えっ、今いいところなのに~」 ブロン子こと、ブロント少尉はテレビの前から離れない。 銀魔戦姫が武器を失って、今しも素手で、卑劣なる山賊と邪悪なモンスターに、対峙しているところなのだ。 きっと、今まで使っていなかった超必殺の魔法を繰り出すに違いない。 「はやく!!なくなっちゃうから!!」 御宅さんはかまわずに、体格も体の鍛え方も違うはずの少尉を、ものすごい力で引っ張っていく。 「え~、もう。どうしたのよ」 ブロント少尉も、数少ない一般人の友人が、そこまで言うならばと従った。 「それにしても、あのゲーム。おもしろそうなのに、お客さん誰も見ていなかったね。 オタク文化は苛烈ね。生半可な面白さではステーダムにのし上がれないのね」 「……、(ブロン子ちゃん、あなたのせいだよ)」 オタク娘は、18禁と書かれたのぼりを背後に、心の中でため息をついた。

さかいきしお

コメント (2)

虹雲しゅあ
2023年09月07日 12時12分

さかいきしお

2023年09月07日 12時14分

知愛

ごめんなさい🙏 ブロン子ちゃんで、どうしても笑ってしまいます

2023年09月06日 12時32分

さかいきしお

2023年09月06日 12時36分

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