彼女と世界
端的に言えば、未熟な魔法使いに強大な力を持たせ敵陣で起爆させる。 そんな人柱に選ばれたのが彼女だった。 しかし、予想を大きく上回る破壊を生み出し世界は崩壊した。 彼女はそこで消えるはずだったが、生き残り力を行使できるようになってしまった。 そういった真実を消すために国が躍起になって彼女を追っているらしい。 「今更、経済も文明も崩壊したに等しいのに政治家やお偉いさんの考え方は変わらないのさ」 と、彼は笑う。 なぜ彼はここまで詳しいのだろうか... 彼の話を聞きながらも思案していると顔に出ていたようで 「当時僕は軍の所属でね、その作戦に反対したんだよ。まぁ正直あれだけの術式を未熟な魔法使いに刻めばどうなるかなんて知れていたからね。」 少しばかりの沈黙を置いて彼が言う 「君のことだから気が付いていると思うけど、もう時間がないよ。彼女に溜まったマナはもう限界なんだから。」 知っていた、だが私は何も答えられなかった。