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こころのともしび@クラレッタ
大使私邸、あるいは本国の屋敷(ロンドン・本領)には、廊下にLEDライトなんてものは導入されていない。 暗くなれば、通路・廊下の燭台にロウソクを設置し、火を灯す。朝日が差し込むまで見回ってロウソクを取り替え灯す。 多くの政治家、軍人、官僚(主に外交官)、法曹家、聖職者を輩出したラナシス家(アヴェリン)とアルーダ家(フロリアン)は賢明で先進だと評判だが、本家はこの通り旧態依然。当事者も疑問に思っていない。 ちなみに、仕える者たちも。 クラレッタは自身も貴族の家だから、侍女といってもアヴェリンとフロランスの身の回りや話し相手、書斎や図書室の管理くらいで、きつい労働はない。庭や温室のは、あくまで個人的な興味だ。 そもそも、彼女も学生だから、家のことで一日中拘束されることはない。 でも、たまに燭台番を受けることがある。金曜とか土曜に。 2人での交代ではあるが、一晩中屋敷の廊下を歩いてロウソクの灯をみて回るのだ。 くらいと ふへいを いうよりも すすんで あかりを つけましょう