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旅の途中で出逢った蜜柑売り達
「蜜柑色の風が吹く丘で」 旅の途中、エルフの女戦士ミカーナは、小さな村外れの道端にぽつんと立つ露店に目を留めた。 木箱には山盛りの蜜柑が並べられており、その鮮やかなオレンジ色が、周囲の退屈な風景を一瞬にして華やかに変えた。 「みかん、いかがですか?」 店番の少女が声をかける。見たところ、彼女は細身で幼い。どうやら村の娘らしい。 ミカーナは立ち止まり、目を細めて言った。 「悪いけど、みかんはおっぱいの大きな売り子からしか買わないんだ。」 その瞬間、店番の少女の眉がぴくりと動いた。そして、無表情のまま蜜柑を一つ掴み、ミカーナの額に向かって全力で投げつけた。 「いったぁぁ!」ミカーナは額を押さえながらうずくまる。「な、何すんの!」 「じゃあ買わなくていいですよ!」と少女は冷たく言い放つ。 ミカーナは慌てて立ち上がり、手をぶんぶん振りながら言い訳を始めた。 「ちょ、ちょっと待って!冗談、顔だけにしろよ!」 少女はさらに無言で蜜柑を手に取った。 「わ、わかった!買いますから!命だけは勘弁してください!」 少女は蜜柑を軽く放り投げながら言った。 「何個買うかは自分で決めなさいよ。」 「ぜ、全部ください!」 少女は一瞬驚いた表情を見せたが、次の瞬間には満面の笑みを浮かべ、手際よく蜜柑を袋に詰め始めた。 「あんた、意外と素直ですね。」 「蜜柑は甘さと酸味のバランスが命なんだ。恋と一緒だな。」 --- その後、ミカーナは村の広場で蜜柑を夢中で食べることになった。しかし、彼女の財布はすっからかんになり、道行く人々からは「このエルフ、正気か?」という視線を浴びる羽目に。 そんな中、再び少女が現れ、ぽつりと呟いた。 「蜜柑を全部買うなんて、変なエルフね。」 「まあね。でも、あんたの蜜柑、美味しかったよ。」 「ふふっ、ありがとう。次はもっと大きい胸で売りますね。」 「それが聞きたかった!」 --- 陽光が雲の合間から顔を覗かせ、蜜柑の果皮のような淡い光が丘陵を染め上げておりました。 エルフの少女が風に髪をなびかせながら歩む姿は、ひときわ美しく、どこか懐かしい遠い日の面影を映しているように感じられます。 彼女が立ち止まり、青空を仰ぎ見ると、その背後には白い雲が波のように広がり、青いキャンバスに壮麗な模様を描いておりました。 その一瞬、自然の中に溶け込むような、静かで優雅な時間が流れました。 そしてまた、彼女の旅路は続きます。青く広がる世界の果てへと。