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朝焼けの撤退
『Kral'den thalvor, treshk'el vrazhan! Valk'thara dral, ven'resh zolar! Kesh'tal varin, oros sekh narath!』 (鋭き刃よ、空間を裂きて網を織れ!標的を捕らえよ、その動きを封じ、逃がすな!刃の力よ、動きを拒む者に苦痛を与えよ) 「Blade Net!」 「Kah'shrek val! Drakar'tesh...」 「Drakar'neth solai! Fiem thelvish norak vash'tar! Kezhar valk shion!」 (全軍撤退! 次の地点で陣を整えよ! 私がしんがりを務める!) 「Aezhar Silvya'neth, tar'kresh veros Mal'thazir'val. Maer'eth sular.」 (さすがシルビア様、魔王の血筋に連なるお方。その力は見事だ。) 「Tresh'kal drar, vel'kesh norath.」(だが、痛みに縛られても、私は屈しない)」 「Zar'thresh, Silvya. Val'drakar rel sorai'neth.」 (覚えておくがいい、シルビアよ。次に会うときは貴様を討つ) ・・・・・・ 「肌を切り裂く、ブレードネットの激痛に耐えながら、テレポートを使った・・・・・・ ただ者ではないわね・・・・・・」 朝焼けのもとシルビアは、 強力な拘束魔法に捕えながらも、部隊を冷静に撤退させ、 なおかつテレポートで逃げ切った女魔族に、 畏敬の念を覚えた。 しかし、その女魔族をシルビアのブレードネットは確かにとらえた。 女魔族と、ハーフエルフの魔術師はどちらが驚異的だろうか。 嵐を予見させる朝焼けの空は、何も答えを出さなかった