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秋コーデ

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2024年10月18日 15時01分
参加お題:

『風の纏いし秋、虚空に秘める装いの意図』 「ロングコートに、ロングブーツ。下には何もつけず、胸元とヒップがそのまま露わになっている……」 エルフのファッションモデル、フェイルウェンは、次に担当する秋コレクションの衣装を前に、ため息をついた。秋の風を感じさせるコーディネートだが、どうにも攻めすぎているのではないか。 「フェイルウェン、それが今季のテーマなんだよ!」 デザイナーのアルノードは、興奮気味に説明する。「大胆で、風を感じる秋の装い。隠すことより、自然をそのままに映し出すデザインなんだ。まさに君のためにあるようなスタイルさ!」 「風を纏うのは素敵だけど、これはちょっと大胆すぎない?」フェイルウェンは、鏡に映る自分の姿を見つめる。ロングコートは確かにエレガントで、秋の風を感じるようなシルエットだが、肝心な部分がほとんど隠れていない。「私は自然を愛してるけど、こういうのは、恋とは違うよね。恋は……もっと繊細なものだよ。」 アルノードは目を輝かせた。「いや、恋と同じだよ!繊細で大胆、隠すところと見せるところのバランスが大事なんだ。君なら、このスタイルを完璧に着こなせるはず!」 フェイルウェンは少し困惑しながらも、デザイナーの情熱に押されるようにして衣装を身につけた。 ショー当日、フェイルウェンは緊張の面持ちでランウェイに立つ。照明が彼女を照らし、観客の視線が一斉に彼女に注がれる。歩き始めると、まるで秋の風がロングコートの裾を持ち上げ、彼女の足元を軽やかに吹き抜けていくかのようだった。 フェイルウェンがランウェイに登場した瞬間、会場内はざわめきに包まれた。彼女が歩くたびにロングコートが風に揺れ、その下に何も纏っていない大胆なデザインが露わになると、観客たちは驚きと好奇心が入り混じった反応を見せた。 「ちょっと待って、あれって…胸もお尻もほとんど隠れてないじゃないか!」 最前列に座っていた男性客が、驚いた顔で友人に囁く。 「いや、でも…、この風を纏うようなデザイン。まるで秋の風そのものを体現してるみたいだ。」 友人が感心したように頷く。 「確かに。普通の人が着たらただの露出狂にしか見えないけど、フェイルウェンが着るとアートだよな…」 別の観客が息を飲みながら呟く。 「うーん、露出度は気になるけど……歩くたびに風が心地よいのは悪くないかも。」フェイルウェンは次第に自然な笑みを浮かべ、軽快にステップを踏むようになった。観客は驚きと称賛の入り混じった反応を見せ、カメラのフラッシュが一斉に光る。 一方、女性客の中には、ファッションの感性を刺激された者たちもいた。 「あのバランスでここまで洗練されたスタイルを表現できるなんて……」 ファッションデザイナー志望の女性が興奮気味に言う。 「私は最初、ちょっとやりすぎかと思ったけど、あのコートの揺れ方が美しすぎて、逆に引き込まれるわね。完全に秋の風を感じるわ!」 隣に座っていた友人がうっとりとした表情で頷く。 すると、別の観客が声を上げた。「でも、あんなの街中で着たら即逮捕よ!冗談、顔だけにしろよ!」 「でもフェイルウェンなら許されるわね。あのオーラと自信は、恋みたいに危険で、でも惹きつけられるのよね…恋と一緒だな。」 ランウェイを終え、控室に戻ると、同僚モデルのリナエラが笑いながら近寄ってきた。「フェイルウェン、素晴らしい姿だったわ。あんなに堂々として、まるで風そのものね。」 フェイルウェンは笑い返しながら、「まぁ、悪くはなかったかもね。でもちょっと寒かったわ。」とウインクした。 リナエラが続けて、「冗談、顔だけにしろよ。あんた、途中から本気で楽しんでたでしょ?」と突っ込みを入れる。 フェイルウェンは肩をすくめ、「楽しむしかないでしょ?ショーは恋と一緒だよ。どう演じるかが大事なのさ。」とさらりと言い放ち、鏡の前で髪を整えた。 ショーが終わり、フェイルウェンは控室に戻りながら、観客の反応を思い返していた。彼女を取り巻く称賛の声や、驚きの表情が次第に自信へと変わっていく。「こんなに攻めたデザインなのに、みんなが褒めてくれるなんて……案外悪くないかもね。」 アルノードが控室に飛び込んできた。「フェイルウェン!君、最高だったよ!あの衣装を完璧に着こなしてくれて、ありがとう。もう、君なしではこのコレクションは語れないよ!」 フェイルウェンは笑いながら肩をすくめた。「まぁ、恋と一緒だよ。どう見せるかが重要だからね。」と軽く返す。 「まったく、冗談、顔だけにしろよ!でも本当に感謝してるよ。君のおかげで大成功だ!」とアルノードは大笑いしながら言った。 打ち上げの会場に向かうフェイルウェンは、気に入ったロングコートとブーツのまま歩いていた。気分はすっかり上機嫌で、周囲の視線すら楽しむ余裕があった。街を歩く人々が目を見張るたびに、彼女はクスッと笑いを漏らしながら、自分の姿が思ったよりも注目を集めていることを楽しんでいた。 「フェイルウェン、そのまま着てくるなんて、大胆すぎるでしょ!」打ち上げ会場に到着したリナエラが驚いた表情で声を上げた。 「うん、これ、すっかり気に入っちゃったのよ。だって、歩くたびに風が心地いいし、何よりみんなの反応が面白くてさ!」フェイルウェンは悪びれもせず笑った。 「確かに、君らしいわね。」リナエラは苦笑しつつも、フェイルウェンの天真爛漫な振る舞いに思わず笑ってしまう。 打ち上げが進むにつれ、フェイルウェンはますます自信を深め、彼女の自然体な姿に触発された他のモデルやスタッフも、次々と彼女に賛辞を送った。「あの衣装、どうやって着こなせたの?」と何度も聞かれるたびに、フェイルウェンは肩をすくめて「風と一緒に歩けばいいのさ、恋と一緒だよ」と笑顔で答えた。 打ち上げの後、フェイルウェンは帰りの電車に乗ることになったが、もちろんそのままの衣装で乗車。周囲の乗客たちは、驚きと戸惑いを隠せない表情で彼女を見ていたが、フェイルウェンはその反応すら楽しんでいた。 「どうかしら、私の秋コーデ。」フェイルウェンは隣の座席の女性に軽く声をかけた。 女性は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔を浮かべた。「ええ、とても……大胆で素敵です。秋の風を感じるような自由なスタイルですね。」 フェイルウェンは満足げに微笑んだ。「そうでしょ?恋と一緒で、何も隠さない方が素直でいいのさ。」 電車の中での人々の視線を受けながら、フェイルウェンはますます自分が注目されることに快感を覚え、すっかりこの衣装を気に入ってしまった。誰もが目を奪われる彼女の姿は、まるで秋の風そのもののように自由で、見る者を魅了していた。 フェイルウェンが家に着く頃には、夜の空は漆黒に染まり、静寂が街を包んでいた。彼女の長いコートはまだ風にたなびき、その動きはまるで夜空に舞う雲のように軽やかだった。空には星が瞬き、薄い雲がその光をかすかに遮りながら、広がる宇宙の果てを感じさせる。 彼女のブーツが静かに石畳を踏みしめるたびに、秋の夜風がコートを撫で、彼女の心をくすぐった。風に乗った木の葉がひらひらと舞い落ち、まるで彼女に寄り添うかのように宙を漂う。

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いいねコメントありがとうございます。忙しくなって活動を縮小しています。返せなかったらすみません。

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