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また子猫かよ…

霧に包まれた小さき野生~恋する絵描きの試練 「また子猫かよ…」 エルフの戦士、ミステリアは深いため息をつきながら、目の前の白紙をじっと見つめた。机の上にはすでにいくつもの子猫のスケッチが並んでいる。「同じテーマでそんなにいくつもネタがないよ…」とつぶやき、彼女は鉛筆を机に転がした。 ミステリアは趣味で絵を描いているのだが、最近、いつも同じテーマばかりだ。それが「子猫」。思えば前回は江戸家子猫まで持ち出したし、白猫や黒猫も含めればすでに3~4回は描いている気がする。それにもかかわらず、自分が提案するテーマはいつも採用されず、彼女は少し不満げに眉をひそめた。 「どうなってんのよ…」と、つい声に出してしまったその時、彼女の中の小さな天使が現れた。ふわりと空から降りてきたその天使は、ほほえみながらささやいた。「テーマに限らず、なんでも好きなように描けばいいんじゃない?」 「うーん…それもそうだな」と、納得するミステリア。「じゃあ、そうするわ!」と言って、彼女が描き始めたのは裸の女性だった。 天使はミステリアの肩越しに絵を見て、少し驚いた顔をして言った。「裸が描きたかったのね…」 「ええ、まぁ…」ミステリアは少し頬を赤くしながら答えるが、すぐに思い出したように天使をじっと見つめた。「天使さん、あなたモデルになってくれませんか?」 「え? いやいや、私は裸にはなりませんよ!」天使は慌てて拒否したが、ミステリアは少しだけ微笑んで、冗談のように肩をすくめた。「良いではないか」 天使は驚きの声を上げながら、ふわふわと逃げようとする。「あーれー!」空中でくるくる回りながら帯を巻き取られる天使を見て、ミステリアは微笑を浮かべている。 その時、ずっと黙っていたドワーフの相棒、グラウスが重々しく口を開いた。「冗談、顔だけにしろよ」 ミステリアは笑いながら、さらに天使に迫る。天使は必死で逃げるが、空中で逃げ場を見失い、ついにあきらめた。 「恋ってこんなもんだよ。恋と一緒だな」とミステリアは天使をじっと見つめ、優しく言葉を紡いだ。天使はそれを聞いて何も言い返せず、ただ赤くなった顔を手で隠した。 夜が深まるにつれ、風はやや冷たく、空気は澄んでいた。遠く、星々が静かに輝き、まるで大地と天を結ぶ橋が空にかかっているかのようであった。その一方で、雲はゆっくりと流れ、穏やかな風に乗ってはるか彼方へと消えていく。森の木々はささやくように揺れ、葉が奏でる音は自然の静かな息吹そのものであった。 ミステリアは目を閉じ、風を感じながら、心の中に広がる無限の世界を想像していた。その世界には、猫も天使も、愛も自由も、すべてが共存していた。彼女の中に芽生えた創造の種は、これからどんな形に成長していくのか、まだ誰にもわからない。しかし、それがいつか彼女の手の中で実を結ぶ時、きっとこの世界も少しだけ鮮やかに輝くだろう。

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いいねコメントありがとうございます。忙しくなって活動を縮小しています。返せなかったらすみません。

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