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ワキ

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2024年08月31日 15時01分
参加お題:

「剣戟と密やかな空白:風の中のひとすじの香り」 エルフの名はワキュルーレ。 彼女は森の奥深く、静かな集落で生まれ育った美しきエルフの戦士。その細身の体と長い銀髪は、まるで風に揺れる花のようだ。だが、彼女の戦士としての腕前は並外れたものだった。村人たちは彼女を「風の剣」と呼び、その力を讃えた。 相棒のドワーフ、ゴルドロフ。 彼は小柄ながらも力強い戦士であり、鍛冶職人としても一流だ。だが、彼には一つの奇妙な癖があった。それは、ワキュルーレの「ワキ」をどうしても気にしてしまうことだった。日々、彼はワキュルーレの動きに注意を払い、彼女のワキをチラ見するのが密かな楽しみだった。 「ねえ、ゴルドロフ。あなた、さっき私のワキを見てたでしょ?」 「いや、冗談、顔だけにしろよ。でも、どうしてそう思うんだ?」 「あなたの目線がね…まるでワキに吸い寄せられてるみたいだったよ。恋と一緒だな。」 彼女は自然とワキを閉めるようになった。以前は戦闘中に腕を大きく振りかざすフォームだったが、今ではワキをしっかりと閉じ、動きが一層洗練されていた。 「なんか最近、フォームがすごく安定してきたね、ワキュルーレ。」 「そうでしょ?まぁ、原因はあなたのせいでもあるんだけどね…でも、恋と一緒で、これも成長の一つかな。」 「それにしても、あんなに腕を閉じてるのに、どうやってあんなに強くなったんだ?」 「それは…秘密だよ。ふふっ、でもね、ゴルドロフ。ワキを閉じるのも恋と一緒で、何かを守るためなんだよ。」 ある日、二人は巨大な魔物と対峙することになった。ワキュルーレはその緑色の瞳を鋭く光らせ、まるで風のように軽やかに魔物の攻撃をかわしていく。そして、彼女はワキを閉じたまま、一撃で魔物を倒した。 「すごいな、ワキュルーレ。まさか、あのワキを閉じたフォームでここまでやるとは!」 「でしょ?でも、これもあなたのおかげかもね。恋と一緒だよ、成長するためには何かを変えないといけないんだ。」 「冗談、顔だけにしろよ。でも、確かに…君の言う通りだな。成長は大切なことだ。」 「うん、そして私はもっと強くなるよ。恋と一緒で、どこまでも。」 二人が魔物を倒し、戦場の静けさが戻った。空には雲一つなく、風が静かに吹き渡る。彼女の銀髪が風にそよぎ、ゴルドロフはその姿をぼんやりと見つめた。 風は静かに、雲はその行方を知らず、空は無限に広がりゆく。彼らの戦いは終わり、再び静寂が訪れた。ワキュルーレの姿は、まるで一筋の風のように儚く、そして強く。やがて、空の彼方へと消えゆくその影は、永遠の謎を秘めたまま、時の流れと共に溶け込んでいった。

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