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何をキメている!?
「やめたまえ!!」 一般人に絡んでいたチンピラに制止の声が声がかかる。 「あ~、おっさん、なんよ!!」 「いい歳ぶっこいて、何かキメてんのか?」 声の主は、貧相な中年男だった。 革鎧とショートソードを携えた、いわゆる盗賊風の身なりだが、 問題は。 「はっ、なんか目覚めちまったてやつかよ。坊さんの真似なんか似合わね‥‥!!」 盗賊の装備の上に白いローブ羽織り、キメ顔でポーズを取る中年を、嘲り笑うチンピラどもだが。 「ひっ!!ひいい!!」 何かに気づいて、悲鳴を上げる。 「ぶっ、ブラザーの兄貴・・・・・・」 元盗賊(現役とも聞く)の修道士、ブラザー(修道士)ウッド。 盗賊でありながら幸運神の奇跡を授かった本物の神官様。 下町で、チンピラたちが敵対しても目を着けられてもいけない存在だった。 「幸運は奪いとる物ではない。自ら招き寄せ分け与えるものだ」 (さすがブラザー、すっかり幸運神の使徒だね) そんな様子を見ていた盗賊巫女も、キメ顔で親指を上げた。