…………おはよう
淫らに狂い一夜を明かし、眠りから覚めて最初に聞く水音。 男と女の体液が混ざり、泡立つ穴を出入りする陰茎。『ずちゅっずちゅっ』大人しい性交は、燃え盛った昨夜の残り火を思わせる。一言の雨にでも降られればきっと、消えて失せて二度と燃えない。 ――――心の氷がぬるく寒く、彼女はキュッとナカを締める。 気付いた彼は彼女に被さり、身体をゆすって耳元で囁く。『愛してる』『愛してる』『愛してる』『愛してる』、とろ火の風で脳を蕩かせる。また熱さが2人の股座で炎となって、交わりの奥で爆ぜて混ざった。 「…………おはよう」 初めて彼にした朝の挨拶を、彼女は恥ずかしく顔を背けた。 歳の差はいくつあるのか? 明日からどんな顔をして会えば良いのか? 様々な思考を1人で行い、『どくんっ』、へそ下の熱さに気付かされる。もしかしたら1人ではなく、2人でもなく、3人になるかも。 チラッ、彼女は彼に横目を向けた。 言おうか言うまいかの少しの悩み。だけど、生で、中で、射精するなら、覚悟はしていると思いたい。そうでないなら思い切り殴って、殴って殴って殴りまくる。 たった一夜でも、過ちは過ちだから。 凍り付いた心を融かし、ドロドロに、ぐちゃぐちゃに、めちゃくちゃにした責任は何よりも重いから。