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蛇の誘惑
「どうする?もう一軒行っちゃう?」 「いいじゃんいいじゃん!行こうぜ」 酔っぱらった若い男たちが、路地を歩いていく。人通りはだいぶ少なくなっていた。 ちょうど繁華街のはずれあたりまで来た時、彼女は現れた。 「マジ?ちょっとマジ美人なんですけど」 男たちの一人が、酔った様子で彼女の方に声をかけようと近寄る。 「おい、よせよ」他の男が止める。 「すいません」もう一人の男が、彼女に頭を下げた。すると、彼女は彼らの方を見て微笑む。 「あ」その視線に釘付けになる男たち。彼らには、彼女が神々らしさすら感じさせるほど美しく見えた。 彼女がそのまま、おいでと手招きをする。 「おいでって、言ってるよな」 男たちは、彼女の後に付き従った。 人気のない路地裏で、彼女は立ち止ると再びその目で彼らの方を見る。 「ウフフフフ」含み笑いのような笑みを浮かべる彼女。 「なんだ、どういうこと?」 男たちが訝しがる。と、その時、彼女の目が緑色に光った。 「ええ!?」驚きの声を上げる男たち。しかし彼らはすぐに、自分たちが彼女から目を離せなくなっていることに気づいた。 「ちょ、どうなってんだ」 「体が動かねぇ」 緑色の光に囚われ、その光を見つめることしかできない男たち。そして、彼女はゆっくりとその正体を現した。 「え、あ、うああああ!」体と目線を動かせないまま、悲鳴を上げる男たち。 服をゆっくりと脱ぎ捨て、その、鱗に包まれた金色のボディを晒す女。そしてその頭には、無数の蛇が蠢いていた。 「ば、ば、バケモンだ!!」男たちは口々に悲鳴を上げているが、体を動かすことができない。 彼女が、彼らに向かって腕を伸ばす。 「な、なんだ!?」 シャー!という音が何重にも響く。 彼女の頭から、男たちに向かってまるで獲物に襲い掛かるように蛇が伸びていく。 「うあああああああ!」 蛇たちは、次々と男たちに咬みついた。蛇に咬まれると、動けなかった男たちは力が抜けたようにそこに倒れ込んだ。 「う・・・・」 苦しんでいる男たち。やがてその体に変化が現れる。筋肉質のがっしりとした体が、見る間に線の細い、丸みを帯びた体型に変わっていく。そして、苦しんでいるうめき声までもが高い声になり、やがてそれが止まるとともに彼ら、いや、彼らだったものは動かなくなった。 「立ちなさい。おまえたちはフェムニスの一員になったのよ」 彼女、蛇女フィムメドゥーサがはじめて口を開く。 彼女の命令に従って、それらは虚ろな表情で立ち上がる。しかしそれは、元の男たちの姿ではなかった。丸みを帯びた輪郭にとボディライン。それは完全に女の姿だった。しかし、それは普通の女ではない。それらは金色の、爬虫類のような鱗に体を包まれた、蛇女の眷属、フィムメドゥーサの忠実な下僕と化していた。 「さあ、ついてくるのよ」 蛇女フィムメドゥーサとその新たな眷属たちは、夜の闇の中に消えていった。 そんなわけで、 某拙作の第一話に出てきた蛇女さん的なのでした。 頭の蛇が咬みついて何かナノマシン的なものを注入して男を女戦闘員的なものに改造しちゃう設定だったんですよね。 まあ、蛇女っていうのは割とポピュラーなんですかね?? AIさん、今回はそんなに外したの出したりすることなく・・・(苦笑