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赤黒い彗星
「お待たせ!!御宅さん!!」 御宅さんは、秋葉原の駅前に、真っ赤なバイクと赤いライダースーツで現れたブロント少尉にぎょっとした。 「ぶっ、ブロン子ちゃん……、バイク買ったって本当なんだ……」 「うん、脚で走るのも好きなんだけど、バイクは二人乗りできるし遠くまで行けるからね」 屈託なく笑うブロント少尉。 頭の動きに合わせて、ヘルメットについている尖った物も揺れる。 「……、ブロン子ちゃん、それって何?」 「えっ?アンテナじゃないのかな」 何を受信するのかな……。 「なんか、さっきから視線を感じる気がするんだけどどうしたのかな。バイクがうらやましいのかな?」 「……、たぶん、ブロン子ちゃんが可愛いからだよ……」 「ああ、ここにバイク止めてちゃいけないのかな。移動しないと。御宅さん乗って!!」 予備のヘルメットを差し出すブロント少尉。 こっちは緑色だ。角はついていない。 いたたまれないが、この場にとどまるわけにもいかないので、ヘルメットを被る御宅さん。 「ねえ、ブロン子ちゃん。ミニスカートでバイク載るのってどうなの?」 「うん?私ぐらいの年の女の子って、どんな時でも季節でも、ミニスカートじゃないの?私、寒いのなんかへっちゃらだよ」 ブロント少尉はすっと辺りを見渡すが、目が合う女の子はいなかった。 「はっ、早くいこう!!ブロンコちゃん!!」 御宅さんは、インドア派な容姿と雰囲気に反して、素早い動きでバイクのリアシートに飛び乗った。