この橋わかるべからず
「この橋わかるべからず!ってあるじゃない?どうすればいいと思う?」 自慢気に話す彼女。 「素直に真ん中を渡るお話かい?」 私は答える。 彼女は首を振って違うと答え、言葉を続ける。 「答えは簡単!欄干の上を渡れば良いのよ!ほら、私の座ってる所!両端の玉ねぎさんが邪魔だけど、ほら!そこはピョコンっと飛び跳ねて解決!ね?凄いでしょ!天才的じゃない!?」 彼女は自慢気に胸を反らす。 今にも欄干からひっくり返りそうだ。 「そうだね、天才的だ。付け加えると、玉ねぎは【擬宝珠 ぎぼし】と呼ぶし、君は運動が苦手だ。危ないからこっちへおいで。」 勢いよく飛び降りる彼女を抱きとめる。 手をつなぎ、橋を渡る。