淑女の肖像 その2
気が向いたら増えていくシリーズです…… --------- ナルヴァ王国第一王女、ニナ・マルサス・ナルヴィクの成人(当時は十五歳)を祝って描かれた作品である。 作者はアーラン・イシュダリウス。 ニナ王女はその類稀なるセンスによって、たびたび遠征に出向く国王と王太子の代役を如才なく務めた傑物であった。 民衆や領主貴族などからも評価が高く、次期国王にと推す声もあったと言う。 しかし、それが仇となり王太子によって冤罪をかけられ、刑場の露と消えることとなる。 わずか十九年の人生であった。 その際に残した、「この断頭台が切り落とすのは私の首ではありません。この国の未来です」という言葉は、その二年後に現実のものとなる。 さらには、王都が陥落したその日は、彼女の命日ともなれば、なんとも因縁めいたものを感じずにはいられない。 ちなみに、アーランに彼女の絵姿を描かせ、また内乱の隙をついて王国を滅ぼすことを強引に推し進めたのも、帝国の女傑アリアドーラだと言われている。 ニナ王女について「そばに置いておきたいと思える数少ない人物であった」と、後年記していることからも、それがほぼ事実であり、ただならぬ想いがそこにあったことを伺わせる。