おじうえのかさ
甥『俺の伯父は傘をささない。彼はゴリゴリの騎馬武者であり、雨が降ろうが槍が降ろうが馬に騎(の)るため 傘など不要だったのだ。これまでは。ところがこのたび城に王太子殿下をお迎えする運びとなってから、伯父は変わった』 王太子(5歳)「あめがふったら ぱーたーぱーたむ(すってんころりんの意)。あめがふったらあんちゅーちゃっく(呪われてしまえの意)。雨の日のおさんぽはたのしいね、ヴァフリーズ」 雨音が音楽に聞こえたらしい。お唄を歌い出されたそうだ。前半は子どもらしいが、後半は…。まあ悪い言葉を覚えたてられで使ってみたいのだろう。 伯父(55)「これ、殿下!そんなに先に行かれては濡れてしまいますぞ!儂にくっついて歩きなされ」 なんということだろう。雨の日でも嬉々として王子と一緒に散歩する伯父。さすがに雨では馬にお騎せするのは危険と考えたか。そして俺が俗語を使い始めた頃はあの岩のごとき拳骨を垂直に落とされたものだが、叔父上は少し王太子殿下に甘いのではあるまいか。