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「紅の炎舞うエルフィーナ」
「うわぁ、そんなつもりじゃなかったんだけど...」 エルフィーナが小さな爆発の魔法を唱えた途端、友人の家は一気に燃え上がってしまった。 「冗談、顔だけにしろよ!これじゃ家がなくなっちゃうじゃん!」 友人は泣きながら叫んだ。 「ごめん、ごめん!ちょっとだけ爆発を出したつもりが...」 エルフィーナも慌てて消火魔法を唱えるが、手に負えないほど火の勢いは強かった。 「くっ...仕方ない!逃げるしかないかも」 エルフィーナはそう言うと、友人の手を引っ張って村から駆け出した。 逃避行の末、エルフィーナはある村で爆発の魔法の先生に出会う。 「お前には才能がある。爆発の魔法をマスターすれば、平和のために生かせるだろう」 「えっ、平和のために? 魔法なんかで?」 エルフィーナは首を傾げた。 「ああ、そうだ。魔法は戦争のためだけにあるのではない」 その後、エルフィーナは先生に魔法を教わりながら、平和の意味を考えるのでした。 数年後、エルフィーナは強力な爆発の魔導士として名を馳せるようになっていた。 然しある日、過去の出来事が頭をよぎる。 「あの時逃げ出してしまって、友人の家を焼いてしまったことを謝罪していない」 そう思い立ったエルフィーナは、当時住んでいた村へと旅立つ。 村に着くと、友人の家は美しく再建されていた。戸をノックすると、友人の姿が。 「エルフィーナ!? 無事だったのか!?」 喜びの表情でエルフィーナを迎える友人。 「ごめんなさい!あの時は見捨てて逃げ出して」 涙を流しながら謝罪するエルフィーナ。友人は優しく微笑む。 二人は以前よりも一層深い絆で結ばれる。そしてエルフィーナは、平和こそが一番大切なことだと悟ったのだった。 エルフィーナは青空の下、緑豊かな大地を見上げた。風に揺れる草花が優しい香りを放っている。 我が故郷であるこの村は、静かで美しい景色に満ち溢れている。子どもの笑顔、大人の穏やかな表情。みんな平和そのものである。 エルフィーナはふと想い出す。小さい頃に起こした火事で友人を傷つけ、この村から逃げ出した日を。 しかし今、温かく迎え入れてくれる友人がここにいる。 これが平和の意味なのだと、エルフィーナは心で感じ取った。小鳥のさえずりがそよ風とともに耳に届く。 エルフィーナは静かに目を閉じ、この瞬間のありがたみを全身で感じるのだった。