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水澤さんと海水浴 (AI Remastered) (Take2)
少し長めだった梅雨が明け、いよいよ本格的に夏が始まろうとしていた。 辺りに漂う磯の香りを嗅いでると、ようやく海にやって来たという実感が湧いてくる。 射すような日差しをものともせずに、浜辺は子供を連れた家族連れや、若いカップルでごった返していた。白く大きな入道雲が浮かぶ、澄み渡るように鮮やかな青空は、絶好の海水浴日和といえるだろう。 砂浜のほど近くにある更衣スペースを出た僕は、人々の活気にあふれた海岸を所在なく見渡していた。海にやって来るのなんて、それこそ何年ぶりになるのだろうか。小さい頃家族で遊びに来たことがある程度で、自分が周りから浮いている気がしてならない。 「お待たせしました」 ざわついた喧噪の中でも、はっきりわかる澄んだ声で呼びかけられた。振り返った先に立っていたのは、あどけなさを残す外見とは裏腹に、どこか大人びた雰囲気をまとわせた美しい少女だった。 流れるような黒髪はそのままに、レースのフリルで彩られた水着を着けている。 子供が着るには少し大胆なデザインに心を奪われていると、こちらの視線に気が付いた彼女が目を細め、喉の奥でくつめくように笑った。 「あのね、わかってるとは思うけど……」 「わかってますよ、雨宮先生。ここではパ・パ……ですよね?」 少女は背伸びをすると、僕にだけ聞こえるように耳元で小さく囁いた。 ※本文との齟齬があったため、水着のデザインを修正しての再投稿です。。。