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水澤さんと体育倉庫 (AI Remastered)
時が経つのは早いもので、この学校での教員生活も二年目に突入して、そろそろ一ヶ月が経とうとしていた。 かねてから出していた希望が通り、僕は前年度からの持ち上がりで最終学年のクラスを受け持つこととなった。子供たちにとっても、僕にとっても、今年は特別な一年になることだろう。 そして、それは同時に絢奈との別れの時が近づいているということでもある。彼女がここから卒業する時に、僕は教師としてちゃんと送りだすことができるんだろうか。 感傷に浸っていたその時、ズボンのポケットに入れたスマートフォンが小さく震えた。取りだすと、メッセージの新着を示す通知のバルーンが画面に表示されている。 まるで見透されたようなタイミングに、ドキリと僕の胸が高鳴った。 震える指でロックを解除するとアプリが起動して、受信したメッセージが表示される。メッセージは予感した相手からのものだ。 画面に映しだされた黒いウサギを象ったアイコンの隣に、短い文章がひとつ。 “ 雨宮先生。旧体育倉庫でお待ちしていますね♥ ” ――絢奈と僕との関係は、新学年になった今もまだ、続いている。