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水澤さんとチョコレート (AI Remastered)
バレンタインデーの夜。絢奈から、仕事帰りに家まで寄ってほしいと呼び出された。 僕が勤める学校の北側には小高い丘があり、そこには物静かな高級住宅街がある。 高い塀に囲まれた立派な造りのお屋敷の中でも、とりわけ豪奢でモダンな佇まいをした邸宅が絢奈の自宅だ。 意を決して、インターフォンのスイッチを押すと、しばらくしてスピーカーから少しくぐもった絢奈の声がした。 きょろきょろと玄関を見渡す僕の手を引いて、絢奈は家の中に僕を招き入れた。 エントランスを抜け、その先にある広々としたリビングを素通りすると、左手から奥に伸びるフローリングの廊下を進んでいく。 てっきり玄関でチョコを渡されるのだと思っていたけど、どうやら違うらしい。 言われるままに家の奥へと進んでいき、引き戸を開けた先にあったのは、天井の高いタイル張りの大きな部屋だった。 浴室の真ん中には、明らかに場違いなビニール製の物体が、でかでかと鎮座している。行ったことはないけれど、いかがわしいお店にありそうなエアマットだ。 あっけに取られた僕が絢奈の顔を見ると、彼女はにんまりと笑ってこう言った。 「わたし、チョコレートプレイって、一度やってみたかったんですよね♥」