ココアとキャンプファイヤー
エルフの戦士レイナは、森の中でゴブリンの一団に襲われた。彼らはレイナの村を焼き払った張本人だった。レイナは憎しみに燃えて、ゴブリンたちと戦ったが、数に劣り、やがて、彼女は力尽きて倒れた。 レイナは目を覚ましたとき、自分がテントの中にいることに気づいた。レイナは慌てて起き上がろうとしたが、体が痛くて動けなかった。すると、テントの入り口が開いて、ゴブリンが顔を出した。 「おお、目が覚めたか。よかった、死んでなくて」 ゴブリンは笑顔で言った。レイナは驚いて、ゴブリンに向かって叫んだ。 「な、なんだ、お前は!どうして私を助けたんだ!お前たちは私の村を滅ぼしたんだぞ!」 「落ち着けよ。私は違うゴブリンだ。」 ゴブリンは穏やかに言った。レイナは信じられなかった。ゴブリンは残忍で卑劣な種族だった。エルフとゴブリンは、昔から争い合っていた。 「お前は私を騙しているんだろう!」 「違うよ。本当だよ。お前はゴブリンたちにやられて倒れていた。私はそんなお前を見て、放っておけなかったんだ。だから、お前をテントに運んで、傷を手当てしたんだ」 ゴブリンは真剣な表情で言った。レイナはゴブリンの目を見た。ゴブリンの目は、嘘をついているようには見えなかった。しかし、レイナはまだ疑っていた。 「そんなことをしたら、お前の仲間に裏切り者として殺されるんじゃないのか?」 「私には仲間なんていないよ。私は森の中で、一人で暮らしているんだ」 ゴブリンは寂しそうに言った。レイナは少し同情した。ゴブリンも一人で生きているのか。それは辛いだろう。レイナも一人で生きている。彼女の村は、ゴブリンたちによって滅ぼされた。レイナは涙をこらえた。 「それでも、お前はゴブリンだ。私はエルフだ。お前たちは私たちを憎んでいる。私たちもお前たちを憎んでいる。」 「そんなことはないよ。お前と私は、同じように生きているんだ。種族なんて関係ないよ。」 ゴブリンは優しく言った。レイナはゴブリンの言葉に心が揺れた。ゴブリンは本当に悪いやつなのだろうか。 レイナはテントの外に目をやった。そこには、キャンプファイヤーが燃えていた。その横には、小さな鍋が置いてあった。その鍋からは、甘い香りが漂っていた。 「ココアだよ。私はココアが大好きなんだ。お前も飲んでみないか?」 ゴブリンは笑顔で言った。レイナは迷った。ゴブリンと一緒にココアを飲むなんて、考えられなかった。 「どうしたの?怖がらなくていいよ。私はお前に何もしないよ。」 ゴブリンは優しく言った。レイナはゴブリンの手を見た。ゴブリンの手は、レイナの手よりも大きくて、毛深くて、ひび割れていた。 「わかった。ココアを飲もう」 レイナは小さく言った。ゴブリンは喜んで、レイナをテントから連れ出した。二人はキャンプファイヤーの前に座った。ゴブリンは鍋からココアを二つのカップに注いだ。レイナはカップを受け取った。ココアは温かくて、甘くて、おいしかった。 「どうだい?おいしいだろう?」 ゴブリンは笑顔で言った。レイナはゴブリンに微笑んだ。 「ありがとう。おいしいよ」 レイナは素直に言った。ゴブリンは嬉しそうに言った。 「よかった。私はココアが大好きなんだ。ココアは、心を癒してくれるんだ。お前もそう思わないか?」 「うん。ココアは、心を癒してくれる」 レイナは同意した。ココアは、心を癒してくれた。レイナは、ゴブリンに対する憎しみや恐怖を忘れた。ゴブリンも、エルフに対する敵意や疑いを忘れた。二人は、ココアを飲みながら、話し始めた。 二人は、それぞれの生い立ちや趣味や夢を話した。二人は、互いに共感したり、驚いたり、笑ったりした。 「ねえ、お前の名前は何だい?」 ゴブリンはレイナに尋ねた。レイナは少し照れた。 「私の名前はレイナ。お前は?」 「私はガル。よろしくな」 ガルはレイナに手を差し出した。レイナはガルの手を握った。ガルの手は温かくて、力強くて、優しかった。 「よろしく、ガル」 二人は旅立つことにした。ココアとキャンプファイヤーは、二人の始まりだった。 森を抜けると、青い海が広がっていた。海は穏やかで、波は優しく岸に打ち寄せていた。海は太陽の光を反射して、キラキラと輝いていた。 終わり ----------- レイナのモデルは一岡レイナさんです。(復活祈願) ガルのモデルは私です。