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踊るお鍋
あかねさんのお肉パーティー① (全6話) ただいまー。 あれ、今日は返事がない。 キッチンの方で人の気配はするのに。 茜さん? 「お鍋さん、急いで。 あの人が帰ってきちゃう」 ヘラやボウルがキッチンを飛び回り、 鍋が踊るように何かをぐつぐつ煮てる。 まるで楽団を指揮するみたいに、 魔法の杖をふるう茜さんがいた。 「炎の精霊さん。お肉は適度な焼き加減で」 茜さん、 また魔法で手抜きしてる。 言い忘れてたけど。 うちの奥さん、魔女だってことは内緒にしてて、 僕も知らないことになってる。 魔女の帽子とか。 知らないフリをする僕の身にもなって欲しい。