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戦いの跡
「何が…有ったんだろうね…」 一夜にして崩壊した街並み…少女が一人、立ち尽くす 「父様も、母様も…みんな…どこに消えたの?」 「ボクタチガ イルヨ」 「ボクタチ オジョウ ゼッタイ タスケル」 足元のロボットが少女を励ます 「うん…でも…もう…みんないなくなって…疲れちゃった」 如何に文明が発展しても異星からの攻撃にはこの街は脆すぎたのだ 「マッテテ オジョウ」 「イマ オジョウ タスケル ナカマ ヨンデクル」 言いながら駆け出す二体のロボット 「コロちゃん!ポチくん!待って…一人にしないで!」 「ゼッタイ タスケル チョット マッテテ」 「…いっちゃった」 どこまでも続く崩壊した街並み 少女の背後に突然巨大な人型兵器が迫る 「…ねぇ…連れてってよ…私の父様も…母様も…あなた達が奪ったんでしょう?だったら…私も連れてってよ!」 しかしその兵器は少女に気づかないのかそのまま通り過ぎる 「本当に…一人…なんだね…」 宛もなく歩く 昨日までは賑わっていた街も、今では同じ瓦礫の山にしか見えない 「いたぞ!奇跡だ!」 眼の前に現れた巨大兵器 「見つかっちゃった…でもこれで…父様や母様の元に…」 「何を言ってるんだ!俺たちはお前を助けに来たんだ! ちっちゃい、本当にかすかな救難信号をちっちゃい2体のロボットが発していたんだ!…本当に良かった!」 「え?」 「救難信号は強力な電波を発するんだ。それは敵にも筒抜けさ。だから君から離れたんだろうね。お陰で機動力の高い敵さんのロボットとビーチフラッグスしないですんだよ」 「それじゃ…コロちゃんと、ポチくんは?」 「…一回しか受信できなかった…そして今も…信号は届かない…」 「そんな…」 背後に現れ、自分に攻撃もせずに通過したロボットを思い出した コロちゃんやポチくんの救難信号を拾ってそっちに攻撃目標を変えたのだろう 「そこまでして守られ、生き延びた命だ!君には生き延びたことでやれることがいくらでもある!だから、これに乗って、安全な場所まで一緒に来てくれないか?」 「うん…でも、コロちゃんとポチくんも探して!」 「わかった!一緒に探そう!」 「ア…オ…ジョウ」 「コロちゃん!ポチくん!」 「エヘ…タスカッタ ダネ!」 「無事だったんだ!良かった!」 「バッテリーザンリョウ スクナクテ イッカイシカ キュウナンシンゴウ トバセナカッタ ゴメンネ」 「デモ ボクタチ オジョウ タスケタ ネ?」 一回の救難信号で破壊されたのではなく、純粋に一回しか救難信号を出せなかった。これにより敵は小さい2体のロボットを破壊されたものと誤認し攻撃を加えることは無かったのだ 「さあ!乗って!私の命の恩人たち!」 「オンジン トイウヨリ オンロボ ダヨネ」 「デモ オンロボ ナンカ オンボロミタイデ イヤダナ」 12年後、また第三の星に有る「宇宙統治委員会」の力を借りて最初に攻撃してきた異星人の惑星が宇宙から消えることで地球は最大の苦難を乗り切る 上のお話はその時、委員会と交渉を続けた少女が戦争初日に体験したものである