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都市に咲く華
その日、私は偶然、煉瓦造りのビルが立ち並ぶ古い通りを歩いていた。いつもは人ごみに紛れて行き交うこの街で、静かな隅を見つけたのは初めてのことだった。そこで、彼女を見た。まるで絵画の中から飛び出してきたような、都市の喧騒に負けない独特の存在感を放つ少女だった。 彼女は、周囲の鮮やかな花々と調和しながら、この隠れた場所を自分だけのステージにしているようだった。あまりにも自然体で、街のどんなに美しいものよりも目を引く。私は、話しかける勇気が出ないまま、遠くから彼女の姿を眺めていた。 彼女は、あたかもこの街の喧騒を忘れさせるような、生き生きとした花のよう。私はその場を去りながらも、彼女の姿は忘れられず、心に強く印象を残した。その後も、偶然ではなく意図的にその通りを訪れるようになった。ただ、彼女の「都市に咲く華」のような存在をもう一度見るために。