クマのぬいぐるみ(Short story付)
「可愛い…ありがとう」 テディベアを受け取ったナディアは嬉しそうにそう微笑んだ。 さすがにもうぬいぐるみなんて喜ばないかなと思ったのだが、お気に召してもらえたらしい。 「そういえば最近、男性から女性にテディベアをあげるのが流行っているものね」 「え…、あ…、いや…」 お嬢様のナディアが庶民の流行り事を把握しているとは思わず、予想外のことに焦る。 それは、『想いを寄せる女性に自分の髪の色のテディベアをプレゼントする』という少し照れくさいものだ。 「…わたしも欲しいなって、思っていたの」 そう言って、ナディアは俺の髪色のテディベアを抱きしめて笑った。