今日もお疲れ様です❤

「今日もお疲れ様です、旦那様❤」 疲れて戻った自室にいたのは、先月我が領地に妻として迎え入れた女性だった。 初めて顔を合わせたときは、緊張のあまりおどおどとしていた彼女だったが、今ではすっかり慣れた様子で俺を出迎えてくれる。 とても献身的な彼女は、邸の中でも使用人からの評価が高く、メイド長からの信頼も厚い。 政略結婚で望まぬ婚姻を結ばされたはずなのに、今ではすっかりと俺の妻らしく振る舞ってくれている。 今では、無くてはならない大切な存在だ。 そんな彼女を横目に「ああ…」と低く短い、何気ない一言を返してしまった。 顔には出していないつもりだったが、領地の事でうまくいっていない事を見抜かれてしまったらしい。 俺のピリピリとした空気を感じ取ってしまったのだろう…。 「…申し訳ありません。お疲れ、ですよね…」 彼女は服を正すと、頭を下げ俺の横を通り過ぎようとした。 ハッとなった俺は慌てて彼女の腕を掴むと、そのまま自分の胸へと引き寄せる。 華奢な身体を抱き締めると、甘い香りと共に温もりを感じた。 突然の行動に驚いたのか、小さく息を飲む音が聞こえたが、それを無視して更に強く抱き締めた。 「あぁ…すまない。君に八つ当たりするつもりはなかったんだ。許してほしい…」 耳元で囁くように謝れば、彼女がクスリと笑う声がした。 そして、そっと俺の腕に触れる感触があったかと思うと、優しく撫でられる。 その仕草はまるで子供をあやしているようだった。 だが不思議と嫌ではない。むしろ心地好さすら感じる。 「いいんですよ。私は貴方の妻なんですもの……。辛い時は甘えて下さい。だって私達は夫婦でしょう？」 そう言ってくれる彼女に愛しさを感じながら、「ありがとう」と礼を言う。 「ただ、今日は遠慮したい…。君に……強く触れてしまいそうで…」 「ふふ、構いませんよ❤」 悪戯っぽく笑った彼女が、背伸びをして唇を重ねてきた。 軽く触れるだけの口付けだったが、それだけでも十分すぎるほど癒される気がする。 「痛いのは…ちょっと嫌ですけど、あなたが望むなら…❤」 そう微笑む彼女に、ああ、俺には勿体ないくらい素敵な人だと心底思う。こんなにも尽くしてくれる人は他にいないだろう。 だから、だからこそ、この人を手放したくない。 「君を傷つけたりはしないよ。ただまぁ……今日はちょっと、長くなりそうだな…」 「まぁ、ふふっ❤」 再び顔を赤く染め上げた彼女は嬉しそうな表情を浮かべ、今度は自分からキスをした。 それは先程よりも深く情熱的で、お互いの存在を確かめ合うような熱いものだった。 ※ちょっとしたバージョン違いも3枚追加