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骨と少女
「命が惜しいか?」 それは空間に響くような大きな音だった。 生物のいない氷の空間。眼の前にあるのはただただ大きな骨。それを見上げる少女は、ただ何の感情もなく、頷く。 「沈黙」 終わった。それは少女と骨が繰り広げた結果だった。骨は動かなくなった。草原で朽ち果てたように、ただ佇む。ボロボロとなった少女は、やはり何の感情もなかった。 「長い時間」 少女は花を届けた。ただ骨の前に花を届ける作業。長い時間を手に入れた彼女は、ただそれだけを行っていた。いつまでもいつまでも、何も無い草原がいつの間にか花に覆われても。 ふと気がつくと、骨が動いている。 小さくなっている。 焼け焦げた跡も徐々に消え始めている。 少女は花を届けた。 いつしか草原が森になった時、その骨は再び立ち上がった。