ボス猫との出会い
「何だお前、迷子か? 家はどこだ? 名前は?」 ちょっと乱暴そうな猫の親分は、僕に向かって片目をぱちっとさせました。 「ここらへんは俺の庭だぜ。坊やはおうちに帰る時間だ」 親分は僕の首根っこをつかんで、おうちまで咥えていきました。 「みゃーちゃん!」 するとおうちの前で待っていた僕の飼い主が、親分から僕をひったくったのです。 「汚い野良猫ね! ノミが移るから触らないで!」 親分は飼い主の平手打ちをひらりとかわすと、僕に向かってニャハハと笑いました。 「じゃあな! もう来るんじゃねえぞ!」 満月の夜になると、僕はときどき親分のことを思い出して、窓に向かってにゃーにゃー鳴いてみるのです。