自由の翼
2024-09-08 00:00:00
animaPencilXL_v310
ProfiteroleMix
対象年齢：全年齢
デイリー入賞： 157 位
参加お題：天使
ある夜、私の寝室の窓をノックする音が聞こえました。ちなみに寝室は2階です。恐る恐る窓を見ると、藤巳さんが空中に立って・・・いや、浮いてました。天使の翼を生やして。
「こんばんわ、凪くん」
窓をすり抜けて部屋に入ってきた彼女が軽く念じると、天使の翼は形を失って彼女の髪に吸い込まれていきました。そのまま彼女は私のベッドに座って話し始めます。
「幽霊って事に気付いてから、いろいろ試してみたの。頑張れば体の形とか色々変えられるみたいなんだ」
なるほど、幽霊だから実際の肉体はありませんからね。イメージ次第で服装や髪型のみならず、身体的特徴も変えられるって事でしょうか。
「空を飛ぶイメージができなかったから羽生やしてみたの。あ、でも天使の輪っかは洒落になってなかったからやめたよ」
確かに洒落になってません。死んでますからね、藤巳さん。私以外には見えていないようですが。
「あ、それなんだけど。凪くんだけに私が見えるのは、きっと凪くんが私の恋人だったからじゃないのかなって思ったんだ」
・・・？ん！？いやいや、何言ってるんですか。
「えっ、違うの？」
違います違います。私に恋人はいません。
「えー、じゃあなんで凪くんだけに私が見えるの？生前の私と深いつながりがあったからとかじゃないの？ほらよく思い出して」
それはありえません。もしそうだったら最初に声を掛けた時に名前で呼んでますから。というか、思い出してはこっちのセリフです。
「あ・・・そっか。記憶が無いの私だけだもんねぇ・・・ご、ごめんなさい、凪く・・・早渚さん」
私の呼び方が戻りました。私としては「凪くん」呼びでも良かったのですが。藤巳さんの声は優しいので、名前を呼ばれると何か和むのです。
「あっ・・・そ、そう？じゃあ、凪くんって呼ばせてもらっちゃおうかな・・・。私も幽魅でいいよ？何か恋人には名前で呼び捨てられてたような感じがするんだよねー。凪くんがそう呼んでくれてれば思い出しやすいかも？」
そこは関係ない気もしますが・・・まあ、藤巳さ・・・幽魅がそう言うならそうしておきます。私も彼女には安らかに成仏してほしいですし。
「生前の私の手掛かりなんて見つかるのかな・・・」
・・・気乗りはしませんが、一つ当てがあります。この町には今、私立探偵の江楠さんが滞在している可能性がありますから、彼女に調査を依頼すれば何か分かるかもしれません。
「ん。凪くん、お願いね」
その日以降、あちこちで天使状態の幽魅を見かけるようになりました。飛べるのが楽しいようです。記憶探しは進んでるのかな・・・？
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(masterpiece, best quality:1.3), illustration, (extream detailed), one girl, angel Descending
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